令和6年6月27日に行われた「美容医療の適切な実施に関する検討会」について

令和6年6月27日に行われた「美容医療の適切な実施に関する検討会」について

令和6年6月27日に行われた「美容医療の適切な実施に関する検討会」では、美容医療の現状とその課題について活発な議論が交わされました。この会議は、美容医療の実施件数の増加とともに、国民からの相談事例や問題事例が増加している現状を受けて、美容医療の質を向上させるための取り組みを検討することを目的としています。


「美容医療の適切な実施に関する検討会」の概要

検討会における検討の範囲不適切事例

画像出典: 厚生労働省 医政局 資料3 本検討会のスコープと検討の進め方について

まず、美容医療の実施件数の増加とともに、医師法などの医事関係法令に違反する疑いのある事例が指摘されています。美容医療は自由診療として行われるため、保険診療とは異なり診療や契約の内容が標準化されておらず、不適切な診療が潜在化しやすい状況にあります。このため、患者が適切な医療機関や施術を選択することが難しく、不正確な説明や即日施術によるトラブルも報告されています​​​​。

検討会では、以下のような議論が行われました。まず、違法・不適切な診療に対する適切な指導や対応についてです。具体的には、無資格者による施術や無診察治療、不十分なインフォームドコンセントなどが問題視されています。これらの問題に対して、医政局や保健所の監督権限を強化し、厳格な指導を行う必要性が議論されました​​。

次に、美容医療の質の向上と国民の選択に資する取り組みについても話し合われました。専門医の活用や美容医療に関する実態調査を通じて、美容医療の質を向上させるとともに、信頼性の高い医療機関が患者に選ばれるような環境整備が重要とされています。また、消費者庁と連携して消費者保護の仕組みを強化し、患者が安心して美容医療を受けられるような情報提供の充実も求められました​​。

さらに、広告や未承認薬の使用に関する問題も取り上げられました。過剰な広告や誇大広告、未承認薬の利用によるトラブルが増加しているため、これらの問題に対する監視と規制の強化が必要です。具体的な対策として、広告の内容の適正化や未承認薬の使用に関する厳格なルールの導入が検討されています​​。

今回の検討会では、美容医療に関するトラブルを未然に防ぎ、質の高い医療を提供するための具体的な方策について議論が行われました。これから美容医療を検討している方にとっては、信頼性の高い医療機関を選ぶための基準が明確化されることが期待されます。また、適切な情報提供や透明性の確保を通じて、安心して美容医療を受けられる環境が整備されることが重要です。



美容医療の現状と課題

医療サービス及び美容医療に関する相談件数の推移

画像出典: 厚生労働省 医政局 資料1 美容医療に関する現状について

美容医療の需要は年々増加しており、その施術の種類や方法も多岐にわたります。特に、非外科的手技による施術の増加が顕著で、ボツリヌス菌毒素注入や医療脱毛などが一般的になっています。しかし、このような自由診療の増加に伴い、患者からの相談やトラブルも増加しています。これには、医療機関による適切な説明や施術の標準化が欠如していることが背景にあります。


トラブルの具体例と件数

美容医療に関する相談のうち「危害」と登録された相談件数

画像出典: 厚生労働省 医政局 資料1 美容医療に関する現状について

美容医療に関する相談件数は年々増加しており、2023年には796件の「危害」と登録された相談がありました。具体的には、皮膚障害、熱傷、消化器障害などの身体的な被害が多く報告されています。また、施術後に発生する問題としては、火傷、感染、合併症の悪化などが含まれます​​ 。

例えば、以下のようなトラブルが報告されています。

  • アンチエイジング点滴で全身に発疹が出た。
  • ボトックス注射後に目の腫れや頭痛が発生し、回復まで3か月かかると診断された。
  • HIFU(高密度焦点式超音波治療)で頬に火傷を負った。
  • ヒゲ脱毛のレーザー治療で水ぶくれができる火傷を負った

美容医療のうち「危害」と記録された相談件数の内容(2023年度)

画像出典: 厚生労働省 医政局 資料1 美容医療に関する現状について


対象の診療とその問題点

美容医療の施術は多岐にわたりますが、特にトラブルが多いのは以下の診療です。

  • 医療脱毛: 照射の強度や回数が適切でない場合、皮膚に火傷や色素沈着が生じることがあります。
  • ボトックス注射: 適切な量や注射部位を誤ると、顔面の麻痺や表情の不自然さが発生することがあります。
  • HIFU: 熱エネルギーを用いるため、施術後に火傷や皮膚の腫れが発生するリスクがあります。

これらの施術においては、患者に対する十分な説明と適切な施術が求められますが、現実にはこれらが欠如しているケースが多く見受けられます。



美容医療に関する制度と規制の状況

美容医療は自由診療として提供されるため、保険診療と比べて監督や規制が緩やかです。医療機関は、医師法や医療法などの法令に従う義務がありますが、自由診療に特化したガイドラインや標準が不足していることが問題となっています。例えば、無資格者による施術や不十分なインフォームドコンセント(患者への十分な説明と同意)が行われていることが報告されています​​ 。

また、広告に関する規制も不十分であり、過大な広告や未承認薬の使用に関する問題も多く発生しています。これに対しては、消費者庁と連携して適切な指導や監督を行う必要があります 。



今後の展望と改善策

今後の美容医療の発展には、以下のような改善策が求められます。

  • 専門医の育成と認定: 美容医療に特化した専門医を育成し、認定制度を設けることで、質の高い医療を提供する体制を整える。
  • ガイドラインの整備: 自由診療に特化したガイドラインを作成し、医療機関に対する指導を強化する。
  • 情報提供の充実: 患者が安心して施術を受けられるよう、正確な情報提供と十分な説明を徹底する。
  • 広告の規制強化: 美容医療の広告に対する規制を強化し、誤解を招く表現を禁止する。
これらの取り組みにより、患者が安心して美容医療を受けられる環境を整備し、トラブルの未然防止と質の向上を図ることが期待されます。

この記事を書いた人
翔太

翔太

肌が弱くヒゲ剃りに一苦労…。おまけに剛毛。多数の脱毛サロン・医療脱毛に通い無事その悩みを解決!同じく毛に悩む男性の悩みをなくしたいと思い、自分の経験を活かしておすすめの脱毛サロン、クリニックを紹介。

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